連載
建築施工現場の舞台裏に迫る ―医療施設増築工事編 Vol.2―
前回のVol.1(arakizm.com/construction-site-log-1/)では、医療施設増築工事が始まるまでの事前準備や現場の段取りについてご紹介しました。
今回は、建設現場が最も活気づく工程のひとつ「コンクリート打設」にスポットを当てます。生コンクリートを流し込む作業の裏側には、緻密な計算と、多くのプロフェッショナルの連携がありました。その現場のリアルを、工程管理を務める八木さんにお話を伺いました。

現場を確認しながら、取材に真摯に応じてくださった八木さん
編集部(以下、編):お疲れさまです!おぉ、どんどんきれいに仕上がっていきますね。見ていて気持ちがいいです。
八木さん(以下、八木):ありがとうございます。これは「土間コンクリート打設」といって、建物の床になる部分にコンクリートを流し込み、厚みや高さ、水平を調整しながら仕上げていきます。今、左官屋さんが「トンボ」を使って凹凸が出ないように均一に整えているところです。これが終わると、もっと滑らかできれいになりますよ。

コンクリート打設と並行して、平滑に仕上げていきます
編:この広さだと、1日がかりの作業ですか?
八木:打設自体は、だいたい半日くらいですね。今日は約70㎥の打設なので、午前10時の時点で半分進み、あと1時間半もあれば打ち終わります。
編:そんなに早く終わるんですね!では、お昼には職人さんたちは撤収されるのですか?
八木:いえ、そこからが長いんです。特に冬場は、コンクリートが固まるまで時間がかかります。打ち終わってから完全に仕上がるまで約12時間。しっかり押さえ切って表面を締めていくので、今日は“夜までコース”といったところでしょうか。
編:12時間…!待つことも仕事なんですね。それにしても、今日は職人さんが多いですね。ヘルメットの色もさまざまです。

さまざまな協力会社の職人さんが作業を進めていきます
八木:今日は“現場の一大イベント”ですからね。ポンプ屋さん、左官屋さん、土工さん、設備屋さんが2社、大工さん、交通誘導員さん、生コンプラントさん…。全部で8社集まっています。
編:8社も連携しているんですね!失礼ですが、今は出番待ちのように見える方もいますが…?
八木:そう見えるかもしれませんね。でも、あの方たちは「相番(あいばん)」といって、すごく大事な役割の方たちなんです。
編:相番とは何ですか?
八木:工事をするときに、その作業を担当していない職種の職人さんが立ち会うことです。コンクリートを流し込むと、相当な圧力がかかります。その拍子に配管がズレたり、型枠にトラブルが出たりすることもあります。そういうとき、それぞれの設備は担当の職人さんでないと判断も修正もできないので、その場で適切な対応ができるよう、待機してくれています。いわば、現場の“守護神”ですね。
編:なるほど。最高の品質で仕上げるための、万全の体制なんですね。それにしても、これだけ多くの協力会社さんを同じ日に集めるのは大変そうです。
八木:ここが施工管理の力量が問われるところです。生コンプラントの予約や協力会社さんの手配は、だいたい1カ月半前から動き出します。2週間前では、もう遅いですね。
編:1カ月半も前から!そうなると、天候も心配ですね。
八木:そうなんですよ。だから1週間前の天気予報を見て、「この日は難しいかも」と思ったら、予備日も同時に調整します。各社に電話して「もし、雨の場合はこの日に空けておいてください!」と交渉して、パズルのようにチームを組み上げていくんです。
編:当日の朝礼で全員がそろった瞬間、現場監督としてはひとつの山を越えた感じですか?
八木:まさにそうです。特に最近は人手不足ですから、段取りがうまくはまって計画どおりに現場が回り出すとホッとしますね。

現場を回り、細部までチェックする八木さん
編:現場でお話を伺っていて、八木さんの説明はとても分かりやすいと感じました。お客様への説明で、何か意識していることはありますか?
八木:いやいや、まだまだです。実は2、3年前までは、自分が伝えたことが全然伝わらなくて、上司によく助け舟を出してもらっていました。
編:そうだったんですか。
八木:上司が「こう言えば伝わるんだ」という姿を横で見て学びました。専門用語をそのまま使うのではなく、建設業を知らない人がどう感じるかを考えて噛み砕く。それが信頼につながるんだなと感じました。
編:その姿勢が、荒木組の現場を支えているんですね。ところで、次はどんな作業に入るのでしょうか?
八木:柱や梁(はり)が立ち上がっていきます。ここまでは「面」の作業でしたが、次からは「立体」になります。鉄筋を1本1本組み上げていく様子もおもしろいので、ぜひまた取材に来てください。
編:それは楽しみです!今日はお忙しい中、ありがとうございました。

土間コンクリート打設が完了し、美しい仕上がりに