連載
【建築部】「図面通り」のその先へ。品質を守る社内検査 ― 検査員の仕事観編 ―
前回「品質管理の仕組み編」(リンクが開きます)では、社内検査員である建築部の副部長・立間さんと次長・小竹さんに、荒木組の品質を支える社内検査の役割や考え方について伺いました。今回は、お2人が現場に向き合う姿勢や、現場とのコミュニケーションで心がけていること、さらには技術者ならではの「職業病」まで、社内検査員の仕事観に迫ります。

(左から)小竹さん、立間さん。撮影にも快くご協力いただきました
編集部(以下、編):長年、現場で多くの経験を積まれた中で、「この現場はしっかりしているな」と感じるポイントはありますか?
小竹さん(以下、小竹):ありますね。現場に入ると、整理整頓や清掃の状況、資材の管理状況などから、その現場の品質に対する意識がある程度伝わってきます。もちろん、最終的には図面や記録を確認して判断しますが、最初に感じた違和感が、実際に品質上の課題につながっていることも少なくありません。
立間さん(以下、立間):単にきれいか汚いかではなく、物の置き方や段取りが合理的になっているかを見ています。例えば、私たちが質問したときに、必要な管理書類や報告書がすぐに出てくる現場は、計画から実行までの流れがしっかり整理されている証拠です。逆に、回答に詰まってしまうようであれば、どこかで仕事の流れが滞っているサインかもしれません。整理整頓や書類整理、日々の段取りが積み重なった結果として、品質につながっていくのだと思います。

編:なるほど。整理整頓や段取りからも、その現場の品質への意識が伝わってくるのですね。検査では改善点を指摘する場面も多いと思います。現場の皆さんとは、どのような関係性でコミュニケーションを取っているのでしょうか?
立間:現場のメンバーにとって、多少の緊張感はあると思いますよ。だからこそ、私たちは「指摘だけで終わらせないこと」を心がけています。なぜ改善が必要なのか、そのまま施工するとどのような不具合やリスクにつながる可能性があるのかまで丁寧に説明し、現場担当者と一緒により良い方法を考えるようにしています。
小竹:検査は粗探しをするためではなく、より良い品質の建物をつくるために行なっています。工事の進め方や構造の納まりについて、「どの方法が最適か」と相談を受けることも日常的にありますし、最近では現場所長からアドバイスを求められることも増えています。私たちは、現場所長たちの「相談相手」でもあるんです。品質は誰かひとりで守るものではなく、現場に関わる全員でつくり上げていくものだと思っています。
編:ちなみに、お2人の先輩が所長を務める現場を検査することもあると思います。改善点を伝えるのに配慮されることもあるのでしょうか?
立間:それはまったくありませんね(笑)。相手が先輩であっても、そこは技術者同士のフラットな対話ですから。「直してください」と一方的に伝えるのではなく、「こうした方がもっと良くなるのではないですか」と、お互いの経験を持ち寄って本気で議論します。意見がぶつかることもありますが、最終的にはより良い品質につながっていると思います。
編:役職や年次に関係なく、本音で議論されているのですね。ところで話は変わりますが、休日に街を歩いているとき、つい建物の仕上がりをチェックしてしまうような「職業病」はありますか?

内容は非常に硬派ですが、取材中は笑い声の絶えない和やかな雰囲気でした
立間:ありません(笑)。休日まで仕事モードにはなりたくないので、細かく仕上がりを見ることはないですね。
小竹:私は、あります(笑)。休日モードではあるのですが、食事に出かけたり、ショッピングモールを歩いたりしていると、無意識のうちに建物や内装の出来栄え、納まりなどを観察しています。「どうやって施工したのだろう」、「こんな材料の使い方もあるのか」と、自然と興味を持って見てしまいますし、勉強にもなりますね。
編:立間さん、本当にありませんか?(笑)
立間:ないと思うけどなあ。建物の歪みや納まりのおかしいところは、気にしていなくても目に入るしなあ。
小竹:それが職業病ですよ!(笑)
編:しっかり職業病がありましたね(笑)。それでは最後に、お2人は社内検査員として、現場にとってどのような存在でありたいと考えていますか?
小竹:私は、検査の場そのものを若手社員の技術向上につながる「学びの場」にしたいと思っています。若手社員と話をするときは、答えが合っているかどうかではなく、「今、どこまで理解できているのか」を知ることを大切にしています。
立間:定期的な社内検査を通じて品質のばらつきを抑え、荒木組が目指す品質水準を現場全体で共有し、さらに高めていくことが私たちの役割です。そして、現場で働く一人ひとりが責任感と誇りを持ち、「次の工程への思いやり」や「お客様目線」を大切にしながら仕事ができるよう、人づくりの面でもサポートしていきたいと思っています。
編:社内検査とは、単なる「合否判定」ではなく、知識や経験を共有しながら品質を高め、人を育てる場なのだということがよく分かりました。
立間さん、小竹さん、ありがとうございました!