連載
アラキ・アカデミーとは?(前編)
荒木組が「究極の品質管理」を目指して立ち上げた、協力業者職長管理能力向上制度「アラキ・アカデミー」。このアラキ・アカデミーを立ち上げた、工務本部 安全課の社員にお話を伺いました。(前編)

立ち上げ時を振り返る安全課メンバー
ーアラキ・アカデミー設立の経緯
2015年、私たち荒木組の建設現場で労働災害が発生しました。この出来事は、現場の安全管理体制を根本から見直すきっかけとなりました。原因究明の過程で、労働災害の背景には複数の要因が絡み合っていたことが分かりました。
1つ目の要因として、協力会社さんは、懸命に業務に取り組んでくださっていました。しかし、その協力会社内部でのコミュニケーションに大きな課題があったのです。
それは、世代間での技術継承とコミュニケーション不足の問題でした。ベテランの職長さんたちは、かつての徒弟制度的な「見て覚える」方式で技能を習得してこられました。この方法は、建設業界での伝統的な技術継承の形でしたが、現代の若手職人さんたちには必ずしも効果的ではありません。若い世代には、より体系的な学習と明確な説明が必要でした。
2つ目の要因として、各協力会社さんによって技術指導の方法や内容にばらつきがあることも判明しました。これらの調査結果から、私たちはひとつの結論を出しました。現場全体の安全性と品質を向上させるためには、職長の皆さんのスキルアップが不可欠だということです。技術指導だけでなく、コミュニケーション能力や教育スキルの向上も含めた、総合的な能力向上が必要でした。
この結論に基づき、2016年に立ち上げたのが「アラキ・アカデミー」です。
ー学びの重要性を理解してもらうために
アラキ・アカデミー設立当初は、正直なところ、協力会社の皆さんから大きな期待を寄せていただけるものではなく、「元請けからの指示だから仕方なく」という消極的な意見が大半だったと思います。多くの職長さんや職人さんにとって、現場での実務こそが最優先であり、受講に時間を割くことへの戸惑いもあったように思います。
しかし、建設業界において安全管理は最重要課題です。特に民間工事を多数手がける企業として、労働災害は何としても防がなければなりません。この点について、粘り強く説明を重ねることで、徐々にご理解をいただけるようになりました。
アラキ・アカデミーの運営にあたっては、協力会社の皆さんの負担を最小限に抑えることを重視しています。1回の講習時間は約半日としました。また、受講者には荒木組から受講手当を支給することで、より参加しやすい環境づくりにも配慮しました。
ー時代に合わせた講習内容を提供
アラキ・アカデミーは、当初、安全に関する講習からスタートしました。安全な作業環境の確保が最優先課題でしたが、次第にお客様に満足いただける高品質な建設物を提供したいという思いから、品質向上のための講習も取り入れるようになりました。
講習内容は、受講者からの「知りたいこと」「学びたいこと」といった声に積極的に耳を傾け、毎回、荒木組の建築・土木・設備などの専門社員が講師を務めることで、現場のニーズに即した実践的な内容となっています。また、最近ではハラスメント対策といった、より幅広いテーマを取り上げることで、受講者の学びの機会を拡充しています。
テーマは、受講者を対象にしたアンケート調査や荒木組社員の声を参考に、毎回、新たに設定しています。そのため、受講者は毎回異なる内容の講習を受けることができ、常に新しい知識やスキルを習得することができます。
ー建設業界全体の底上げのために
アラキ・アカデミーでは、幅広い参加者を受け入れています。特に一次下請けの協力会社さんには、ご自身の会社だけでなく、関連する二次・三次下請けの協力会社さんも一緒にご参加いただくようお声がけしています。これは、現場全体の安全管理と技術水準の底上げを図るためです。
講習は主に職長さんの能力向上を目的としていますが、将来の建設業界を担う若手職人の育成も重要な課題と考えています。そのため、経験の浅い職人さんにも積極的に参加を呼びかけています。
また、できるだけ多くの方々に参加いただけるよう、開催場所にも工夫を凝らしています。具体的には、岡山県南、岡山県北、広島県福山市の3つのエリアに分けて講習を実施しています。このように、受講のしやすさや参加者層を考慮した柔軟な運営により、より多くの方々に学びの機会を提供できるよう努めています。
(後編に続く)