実例紹介
CLT工法の新社屋が完成!
荒木組が施工を手がけた、セリオ株式会社様の新社屋が完成しました。アラキズム編集部は早速、その新社屋の見学会に潜入。隅々まで工夫された新社屋をレポートします。

CLTの木材を取り入れた、オフィス部分

キッチンを併設した、ラウンジスペース

ナチュラルトーンのオフィススペース

各部屋には、遊び心のある名称とサインがありました
見学会に参加されていた、当現場所長であるWさんがいらっしゃったのでお話を伺いました。
編集部(以下、編):Wさん、こんにちは!新社屋の完成と引渡し、おめでとうございます。工事が終わった今、どんなお気持ちですか?
W所長(以下、所長):昨日、竣工式があって、この建物を喜んでくれる人たちの顔が見えました。それを見て、ほっとしました。
編:「完成してうれしい」が一番最初に来るものではないのですか?
所長:もちろん、うれしいですよ。でも本当にうれしいのは、実は2年後なんですよ。2年後に建物の瑕疵検査があり、その検査で問題がないことが喜びになるのです。建物というのは人間と同じで、完成してすぐは赤ちゃんなのです。私としては赤ちゃんを産んだような感覚ですから、これからはこの建物に目をかけていかなければいけないのです。
編:なるほど。
所長:それこそ、この建物は木がふんだんに使われていますから、これから雨や風を受けて、夏を越す頃にはどうなるか、よく見ていかなければいけません。完成したから「終わり」ではなくて、これから「始まる」というイメージなんですよ。
編:せっかくなので、この建物の所長の「推しポイント」を教えてもらえますか?
所長:推しポイントですか?(笑)いろいろあるからなぁ…。でも、一番を選ぶなら、窓の外の木の目隠しですかね。まっすぐな木が均等に並んでいますよね。木は生き物なので、気温や湿度によって、反ったり曲がったりするんですよ。だから、図面どおりにボルトで固定するだけではうまくいかない。上下に2本づつ横棒を通して、5本セットを作ってから固定するように工夫しました。きれいに仕上がるように、若手ががんばってくれましたね。

この外構が所長のイチオシです
編:では、難しかった施工はありますか?
所長:先ほどの目隠しのほか、屋根を支える支柱の取り付けが難しかったです。この柱を見ていただいたら分かるのですが、2本ありますよね。1本はまっすぐなのですが、もう1本は斜めになっています。

これが話題に出ている支柱です
編:確かに斜めに取り付けられていますね。
所長:これは強度を出すために、空洞のない重い柱を採用しているので、重さもあります。この取り付けがうまくいくかどうかが、難しいところでしたね。ほかには、図面ではなかなか表しにくい箇所は、アナログ的な技術で目測し、設備を取り付けるようなものもありました。
編:いくら技術が発達しているとはいえ、職人技が大切な場面があるのですね。
所長:そうなんです。先ほども言いましたが、この建物が完成してからがスタートなんですよ。ですので、まずはお客様がこの新社屋を使い始めて、必要に感じるものは新たに造っていく予定です。
編:完成したばかりの建物は赤ちゃんという意味が分かりました。引き渡した後も、まだまだ手をかけていくのですね。
所長:そうそう。これからも末長く付き合っていきます。

CLTとは板の繊維方向がクロスするように積層接着した木質系材のこと。この写真は3cmの板が5層になったCLTですが、1階と2階の板は7層21cmのCLTが使われていると教えてもらいました
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セリオ株式会社・本社ビル竣工のお知らせ
https://www.serio.inc/topics/2025/06/02/20250602
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