連載
土木施工現場の舞台裏に迫る ―「百間川橋耐震補強工事」編 Vol.1―
「建築施工現場の舞台裏に迫る」シリーズと同じく、実際の土木施工現場をスタートから完成まで追いかけるシリーズがスタート!初回は、国道2号線・百間川にかかる百間川橋の耐震補強工事現場に密着します。

こちらが工事を進める橋脚です
編集部(以下、編): 先日はユニークな現場事務所を見学させていただき【現場事務所ツアー:百間川橋現場事務所編 – ARAKIZM(アラキズム)】(←LINKが開きます)、ありがとうございました。今日から完成まで、定期的に現場を取材させてください。
栗原所長・道本さん: よろしくお願いします。
編: 早速ですが、この工事はどういった内容なのですか?
栗原所長(以下、所長): 岡山県の中央部を流れる百間川に架かる一般国道2号百間川橋の耐震補強を行う工事です。こちらは毎日多くの車両が行き交う、地域にとって欠かせない橋です。もし、大きな地震が起こって橋が落下してしまうと、救急車などの緊急車両が通れなくなり、避難や救助、物資運搬にも大きな影響が出てしまいます。
編:そうですよね…。かなり大変なことになりますよね。
所長:そこで今、「落橋防止装置」という、橋をしっかり支えて落下を防ぐ装置を取り付ける工事を進めています。災害発生時に橋の落下を防ぎ、緊急車両の通行を確保するために行います。
道本さん(以下、道本): 上り路線にはすでに装置が取り付けられていて、今回は下り車線の4つの橋脚、それぞれ表裏の合計8カ所に取り付けます。


橋げたと橋脚がつながる部分に取り付け、地震時のずれや外れを防ぎます
編: 工事の流れはどのように進むのでしょうか?
所長:現在は現場で、落橋防止装置の取り付け作業のための「吊り足場」を組み立てている段階です。その後、橋脚内部の鉄筋の配置を確かめる調査をします。この調査結果に基づいて取り付け位置が決定し、本格的な施工に入る予定です。
編:なるほど。準備にもいろいろな工程があるんですね。
所長:そうなんです。実際に装置を取り付けるためには、まず安全に作業できる環境づくりが欠かせません。橋脚内部という見えない部分の確認も、このタイミングでしっかり行います。準備段階でも多くの工程が同時進行しているんですよ。
編:橋の下での工事は専門性が高いのですね。入社1年目の道本さんはいろいろと覚えることがあって大変なのでは?
所長:道本さんには書類作成を中心に、工事全体の流れを学びながら視野を広げてもらっています。現場全体を知ることが、この先どんな業務に携わる時にも役立つので。
編: そうですよね。道本さん、実際の業務はどうですか?
道本: いろいろな業務を教わりながら全体像を見るように心がけています。ただ、現場で作業員さんから質問を受けることもあるのですが、まだ知識が追いつかず、答えられないこともありまして…。施工計画書や図面をもっと理解したいと思っていますが、日々の業務でなかなか時間がつくれず…。それが今の課題です。

こちらは道本さんが作成した施工体系図です
編: 1年目は誰もが通る道かもしれませんね。ところで、現場の看板も種類が多いですね。
所長: 法律で義務付けられている情報を掲示する看板と、施工者が自由に表現できる看板があります。「橋を強くしています」というメッセージは、地域の方々に工事内容を分かりやすく伝えるために、荒木組独自で考えた表現です。

土木工事では、地域住民の工事への理解と協力が欠かせません
編: 今日はありがとうございました!これからもよろしくお願いします。
所長: こちらこそ、よろしくお願いします。次回は吊り足場の設置をご紹介できればと思います。