連載
土木施工現場の舞台裏に迫る ―「百間川橋耐震補強工事」編 Vol.4―
土木部が手がけている、国道2号・百間川橋の耐震補強工事現場を追う本企画。第4回は、「落橋防止装置」のアンカーボルト※設置工事後の品質検査をレポートします。見えない場所だからこそ重要となる品質について、栗原所長に伺いました。
※アンカーボルト:新しい構造物を橋に固定するための大きなボルトのこと。
編集部(以下、編): 先日、橋脚にアンカーボルトを設置されたんですよね?
栗原所長(以下、栗原): はい。削孔した箇所にアンカーボルトを入れ、エポキシ樹脂を流し込み、固定させました。

削孔した箇所にアンカーボルトを挿入している様子

高い接着力でアンカーボルトを固定するエポキシ樹脂を注入
編: 今日は大きな機械を使って、打ち込んだアンカーボルトを力一杯引っ張る検査をされていましたね。
栗原: はい。あれは「引き抜き試験」という品質検査です。アンカーボルトが設計通りの強度で確実に固定されているかを確認しました。


引き抜き試験では見えない部分の安全性を確保するため、強度を一つひとつ確認
編: かなり大きな力がかかっているように見えましたが、どれくらいの重さなんですか?
栗原: 実際には212kN(キロニュートン)、重さに換算すると約21t以上の力をかけています。大型トラック数台分の重さを想像してもらうと分かりやすいかもしれません。その力で引っ張っても抜けないことを、数値で証明していくというわけです。
編: 21t!それだけの負荷に耐えられるからこそ、大地震が起こった際に橋の落下を防ぐことができるのですね。ところで、先ほど別の機械でコンクリート表面を測定されていましたが、どのような検査だったのでしょうか?
栗原: あれは、超音波を使用した「出来形検査」ですね 。コンクリート内部に埋めたボルトの長さを超音波で測定します。アンカーボルトは施工すると外から見えなくなるため、こうした技術を使って、設計通りの長さになっているかをミリ単位で確認しています。

編: 「だいたい合っている」ではなく、すべてを数値で裏付けていく。まさに「根拠」を積み上げるお仕事ですね。
栗原: その通りです。公共工事は税金によって実施されるものである以上、発注者である行政に対し、施工の根拠をデータで明確に示すことが求められます。さらに、国の基準を満たすだけでなく、荒木組独自の厳格な基準も設けています。

検査が終了したアンカーボルトにはすべて数値が記されます
編: 荒木組独自の基準、ですか?
栗原: 例えば、今回の現場ではアンカーボルト定着長に社内管理値を設けています。国の基準値では20㎜定着長が短くても合格となりますが、荒木組では設計値以上で管理をしています。基準を満たすのは大前提として、より良いものを造ろうとする姿勢が、企業としての信頼につながると考えているからです。
編: 完成すれば目に触れることのないコンクリート内部のボルト1本に、そこまで徹底したこだわりが詰まっているのですね。
栗原: 橋を利用する人がアンカーボルトを目にすることはありませんが、その見えない部分こそが安全の要です。見えない場所にこそ品質がある。それが荒木組の誇りでもあります。
編: 確かなデータに裏打ちされた安全。その重みを改めて実感しました。栗原所長、ありがとうございました!

現場監督と協力会社の作業員さんがチーム一丸となって取り組んでいます!