連載
土木施工現場の舞台裏に迫る ―「百間川橋耐震補強工事」編 最終回―
これまで5回にわたって完成までを追ってきた、国道2号・百間川橋の耐震補強工事。本工事は、このたび無事に完了しました。工事終盤、足場の撤去を終えたタイミングで、栗原所長に今回の工事を振り返っていただきました。

無事に落橋防止装置の取り付けを終えた現場での栗原所長
編集部(以下、編):栗原所長、まずは落橋防止装置の取り付け、本当にお疲れさまでした。
栗原所長(以下、所長):ありがとうございます。取り付け自体は問題なく終わりました。このまま予定通り工事を完了できそうです。
編:スケジュール通りとはいえ、先日の台風の影響による大雨には本当にハラハラしたんじゃないですか?
所長:そうなんですよ。もともと数日分の余裕を見込んでスケジュールを組んでいましたが、大雨で川の水位が上がり、その余裕をほとんど使い切ってしまいました。丸一日、作業ができない日もありましたからね。やはり川の現場は、常に自然との闘いです。水位が上がると予想された時点で、本社とも連携しながら「資材をどこまで安全な場所へ移すか」を瞬時に判断しなければならなかったんです。今回は「最悪の事態を想定して、すべて移動させよう」と決め、トイレや休憩所まで事前に移動させました。その判断が結果的に正解でしたね。もし、先手を打てていなければ、大きな影響が出ていたかもしれません。
編:なるほど。自然を相手にしながら工程を管理するのも、現場の大切な仕事なんですね。一方で、施工そのものにも高い精度が求められたと思います。今回取り付けた落橋防止装置も、素人目には橋桁に設置するだけに見えますが、実はそうではないんですよね?
所長:そうなんです。橋桁の勾配や角度に合わせて、部材同士の位置をミリ単位で調整する必要があり、決められた寸法どおりに施工しなければなりません。完成後は、設置位置が国土交通省の規格値に収まっているかを検査します。落橋防止装置は、わずかなズレでも本来の性能を発揮できません。だからこそ、ミリ単位の精度で正確に設置することが重要なんです。
編:数ミリの違いが、落橋防止装置の性能を左右するのですね。

赤い印で示した部分は、ミリ単位の調整が求められます
所長:そうなんですよ。
編:今回は吊り足場(システム足場)を採用(LINKが開きます)し、重量のある部材を足場上で運搬・設置しました。協力会社の作業員さんたちの反応はいかがでしたか?
所長:最初は、初めて採用する足場ということもあって、「本当に大丈夫なのか」という不安はあったと思います。通常の吊り足場では支えられないような重量のある部材を運搬・設置する作業でしたからね。でも、実際に作業を進める中で、「システム足場のおかげで、安心して作業ができる」という実感に変わっていきました。作業員の皆さんも初めての経験でしたが、最後まで安心して作業に取り組んでくださいました。それが一番よかったですね。
編:協力会社の作業員さんと一緒に、新しい挑戦をやり遂げた現場だったのですね。

大きな荷重に耐えられる吊り足場(システム足場)
\当時、新入社員として配属された道本さんにも聞きました!/

現場で経験を重ねる道本さん。現在は入社2年目
編集部(以下、編):道本さん、初めて配属された百間川橋の現場も、いよいよ終盤を迎えました。ここまでを振り返ってみて、いかがですか?
道本さん(以下、道本):やることは本当にいっぱいあったんですけど、振り返ると意外とあっという間だったな、という感覚です。
編:最初に配属された頃と比べて、現場を見る視点や考え方に変化はありましたか?
道本:そうですね。最初は仕事内容もそうですし、自分がその日に何をすればいいのかも、まったく分からない状態でした。でも、いろいろと経験を積むうちに、現場を見る視点はかなり増えたかなと思います。最初は先輩に言われたことをやるだけで精一杯だったんですけど、1年くらい経つと「先にこれをしておこう」と自分で気付けるようになりました。まだまだ完ぺきではありませんが、少しずつ自分で考えて動けるようになったかなと感じています。
編:自分で考えて動けるようになったのですね。では、この現場で一番印象に残っていることは何ですか?
道本:一番印象に残っているのは、先日の大雨ですね。川の水位が一気に上がってきて、この辺りの資材を撤去したり、高台へ移動させたりと、現場のみんなで慌ただしく対応しました。増水する前に何とかすべて運び出すことができましたが、自然が相手の現場では、こうした想定外のことも起こるんだと身をもって実感しました。すごく勉強になりましたし、気が引き締まる経験でした。
編:自然の厳しさも経験したのですね。現場の皆さんや作業員さんたちとのコミュニケーションはいかがでしたか?
道本:最初は少し話しかけづらいなと思っていましたが、日が経つにつれて自然と話せるようになりました。現場の先輩方や作業員さんは、こちらが質問すると、その答えだけでなく、それ以上のことまでいろいろと教えてくださるんです。毎日が本当に勉強で、その経験は次の現場でも絶対に生かせると思っています。次の現場でもがんばりたいです。
編:道本さん、初配属の現場、本当にお疲れさまでした。これからの成長も楽しみにしています!
道本:ありがとうございました。これからもがんばります!
\工事は完成。でも仕事はまだ終わらない!/
工事は無事に完成。しかし、その先には「現場所長だからこそ担う最後の仕事」が待っていました。

編:工事もいよいよ完成ですね。気持ちとしては、少しほっとされていますか?
所長:いえ、工事自体は予定通り無事に終えることができましたが、完成検査を受けて、お客様に引き渡すまではまだ気は抜けません。完成検査では、品質、出来形、安全管理、施工計画、創意工夫、そして仕様書通りに施工・管理が行われているかなど、さまざまな項目について確認を受けます。
編:え、造って終わりではないのですか?
所長:終わりじゃないんです(笑)。工事を無事に完成させて、完成検査にも合格して、ようやく「現場が無事に終わった」と思えるんです。
編:完成して終わりではなく、最後まで責任を持って取り組まれるのですね。本日は貴重なお話をありがとうございました!