連載
新人所長にインタビュー ―土木部 岡田所長編 第5回―
1年間の総括編
初めて所長として現場を率いた岡田所長。1年間手がけてきた、旭川堤防工事がひとつの節目を迎えました。これまで追ってきた本シリーズの締めくくりとして、今回は“1年間の総括”としてお話を伺いました。掲げたテーマは「チャレンジする現場」。デジタル技術の導入、働き方の見直しの中で、現場をどのように動かし、何を残したのか――そのリアルに迫ります。

編集部(以下、編):旭川堤防工事、本当にお疲れさまでした!「チャレンジする現場」というテーマを掲げられていましたが、振り返ってみていかがですか?
岡田所長(以下、所長):ありがとうございます。総括すると、チャレンジしたことはおおむね達成できたと思っています。取り組みの軸となったのは、生産性向上に向けたデジタル機器の導入と、働き方の見直しですね。
編:デジタル技術の活用は、特に印象的でした。
所長:スマホを用いた測量や、3Dプリンタによる構造物の製作など、さまざまな取り組みに挑戦しました。どちらも、現場の効率化に一定の効果を発揮したと感じています。デジタル技術は進化が早く、1年前のものがすぐに古くなってしまう世界です。だからこそ、それをリアルタイムで体験し、「次にどう生かすか」を考えられること自体が、会社にとって大きな財産になると思っています。実は、次の現場ではさらに精度の高い新しい機器の導入を、ひそかに目論んでいます(笑)。

3Dプリンタの活用で大幅な工期短縮を実現
編:なるほど。使いどころが重要で、現場ごとに最適な選択をしていく力が求められるということですね。では、働き方の面では、具体的にどのような取り組みをされたのでしょうか。
所長:「月に1回の有給休暇取得」と「週に1回のノー残業デー」を計画し、実行しました。現場メンバー4人でローテーションを組んで、誰かが休んでも現場が止まらないようにしました。
編:現場でそれらを実践するのは、かなり難しかったのでは?
所長:正直、簡単ではありませんでした。これまで“21日かけて終わらせていた仕事”を、生産性を高めて“20日で終わらせる”という考え方で計画したためです。ただ、実際に取り組んでみると、「難しいものの、不可能ではない」という手応えはありました。特に苦労したのは、現場をメインで動かしているメンバーを早く帰らせるための段取りです。誰か1人に負荷が偏らないようにするのは、想像以上に難しかったですね。
編:残業時間はかなり抑えられたそうですね。
所長:月20時間以内を目標にしていました。繁忙期には超えることもありましたが、残業が少ない月だと17時間くらいで収まっています。土木の現場としては、かなり抑えられた方だと思います。

メディアの取材対応も完璧でした
編:こうした取り組みを進める中で、今回は初めて所長として現場を率いられましたが、実際にやってみていかがでしたか?
所長:そうですね。大きなトラブルもなく進められたのは良かったと思います。その中で、現場の判断についても、あまり迷うことはありませんでした。図面と現地の状況を照らし合わせながら、自分の感覚で決めていくことが多かったですね。もちろん悩むことはありましたが、ひとりで抱え込むというよりは、「図面ではこうだけど、現地で見るとこの方がいいんじゃないか」というふうに、チームで相談しながら進めていました。
編:チームとしてうまく回っていたんですね。
所長:はい。今回、楠井さんに現場をまかせられたのは大きかったです。現場をしっかりと動かしてくれたからこそ、僕は別の役割にも時間を使うことができました。部下にまかせることと、しっかり見守ることのバランスは、かなり意識しましたね。
編:次の現場も同じ堤防工事が続くと伺いました。
所長:はい。ただ、次はさらに工程が厳しくなります。河川工事なので、実質限られた期間の中で進めていく必要があります。その中でも、今回取り組んだ「休暇の計画」は続けていきたいと思っています。しっかり休むことを前提にすることで、結果的に仕事の進め方も変わってくるので。
編:まさに“働き方から現場を変える”という取り組みですね。
所長:そうですね。やってみて、現場全体の動きが良くなったという実感があります。個人ではなく、チームとしての推進力が上がった感覚ですね。
編:現場所長2年目の挑戦も楽しみにしています。本日はありがとうございました!
所長:ありがとうございました。またおもしろいことを仕掛けていきたいと思います!


現場事務所で飼われていたカメ。土木の現場では、事務所に小さな“仲間”がいることもあります。日々の現場を見守るように、チームと同じ時間を過ごしてきました。1年という時間の中で、この現場とともに歩んできた存在です。その姿は、チームの積み重ねてきた時間や成長を、どこか象徴しているようにも感じられました。