荒木組ワークス
現場を終えて。所長が振り返る、チームを動かした日々と若手の成長
事務所の立ち上げや珍しい工法など、さまざまな角度で取材してきた「東畦現場」。現場が無事にひと区切りを迎えたタイミングで、宮脇所長にお話を伺いました。異例ともいえる追加工事への対応、チームで乗り越えた工程、そして若手の成長。公共工事ならではの責任とプレッシャーの中で、どのように現場を動かしてきたのか。激動の日々を、振り返っていただきました。

完成した現場を見せていただきながら、お話を伺いました
編集部(以下、編):ひと区切りということで、まずはお疲れさまでした。今回の工事は、予定通り完了されたのでしょうか?
宮脇所長(以下、所長):なんとか、ギリギリで終えることができました。当初の計画と比べると、実際にはかなりのボリュームをこなすことになりましたね。
編:計画以上のボリュームとは、具体的にどのような内容だったのでしょうか?
所長:もともとは2025年9月までの工期だったのですが、国土交通省からの追加要望があり、最終的には施工範囲が当初の約10倍にまで広がりました。感覚としては「工事の延長」というより、もうひとつ別の現場を立ち上げたようなイメージです。人も技術も、想定以上にフル稼働でした。
編:10倍というのは相当な規模ですね。メンバーの体制づくりも大変だったのでは?
所長:忙しい時期には、土木部のほかの社員が応援に来てくれて、「チーム土木」で乗り切ることができました。ただ、メンバーが入れ替わる分、マネジメントはより重要になります。どれだけ経験豊富な社員でも、その現場特有のルールや図面の管理方法、資材の配置まですぐに把握するのは簡単ではありません。そこがあいまいになると、更新前の図面をもとに作業してしまうなど、トラブルの原因になります。だからこそ、誰でも最新の情報をすぐ確認できる環境づくりには、特に気を配りました。
※工夫された事務所の紹介はこちら:現場事務所ツアー:東畦現場事務所編(前編) | ARAKIZM(アラキズム)

情報共有のしやすさを意識してレイアウトされた現場事務所
編:情報共有の仕組みづくりが、現場を支える基盤になっているんですね。では、今回の工事で印象に残っていることはありますか?
所長:「軽量盛土」という工法ですね。
(軽量盛土工法の紹介はこちら:未来の道路をつくる「軽量盛土工法」とは ― 東畦現場の取り組み | ARAKIZM(アラキズム))
発泡スチロールのような軽い素材を使って土台をつくるのですが、将来的に車が通る道路の基盤になると知って、最初は驚きました。仮設道路の施工においても、新しい選択肢として自分の中に引き出しが増えた感覚があり、純粋におもしろかったです。

これが軽量盛土工法で造られた土台部分
所長:もうひとつ印象的だったのが、最後に行なった「農地の復旧」です。工事中に資材置き場としてお借りしていた土地を、再び農地として使える状態に戻してお返しする作業です。
編:お借りした土地をきちんと戻すところまでが仕事なんですね。
所長:そうですね。機械だけでなく、人の手も使いながら石を拾い続けました。土地を貸してくださった方への思いもありますし、通常の工事とはまた違った意味で、品質にこだわる作業でした。
編:若手の方々の成長についてはいかがでしたか?
所長:成長をすごく感じました。特に入社1年目の社員は、最初は右も左も分からない状態でしたが、今では測量もしっかりまかせられるようになって、顔つきまで頼もしくなりました。3年目の社員も、目に見えて成長しています。自分から意見を求めに来たり、「こうした方がいいと思います」と提案してくれたりする場面が増えました。
※若手の成長はこちら:現場事務所ツアー:東畦現場事務所編(後編) | ARAKIZM(アラキズム)
入社3年目、初めてまかされた工事の采配 ― 道路改修工事を振り返って ― | ARAKIZM(アラキズム)

編:意見を言い合える関係性ができているんですね。
所長:そうですね。もちろん丁寧に話を聞いてくれるのも大事ですが、もっと遠慮なくぶつかってきてくれてもいいと思っています(笑)。
編:完成を迎えられた今、率直にどんな思いがありますか?
所長:「ひと区切りついた」という気持ちが一番大きいですね。ただ、「ほっとした」というよりは、まず無事故で終えられたことが何よりだったと感じています。今回は特に、評価も期待できる状況だったので、逆に「絶対にミスが許されない」というプレッシャーが大きかったです。ひとつの事故で、これまで積み上げてきたものがすべて失われてしまう可能性もありますから。
編:達成感はまた別のタイミングで感じるものかもしれませんね。
所長:そうですね。数年後に、自分たちが関わった道路が形になり、実際にその道を走ったときに、初めて達成感がわいてくるんだと思います。
編:日常の風景として残っていく仕事ですね。
所長:この仕事に就く前は、道路はただの風景でした。でも実際に造る側になってみると、その大変さがよく分かります。瀬戸大橋のような大きな構造物も、今は「これを造った人たちはすごい」と素直に思いますね。自分たちの仕事も、誰かの生活を支える風景の一部になればうれしいです。
編:次の現場はすでに決まっていると伺いました。
所長:はい。次は事務所探しからですね(笑)。インターンシップに来られる学生さんのために、備品を少しグレードアップしようかなと考えています。またひとつずつ、積み重ねていきたいと思います。
編:ありがとうございました。次の現場でのご活躍も楽しみにしています!