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ICT技術の普及に向けて ― 技術報告で優秀賞を受賞した仲達さんにインタビュー
こんにちは、アラキズム編集部です。
このたび「第29回 土木施工管理技術論文・技術報告」において、工務本部土木部の仲達さんが「技術報告 優秀賞」を受賞しました。どのような経緯で受賞に至ったのか、仲達さんにお話を伺いました。

工務本部土木部の仲達さん。当時の現場所長との共同受賞です
編集部(以下、編):本日はよろしくお願いします。まず、この「技術報告」とはどういったものか教えていただけますか。
仲達さん(以下、仲達):よろしくお願いします。全国の土木施工管理技士会をもって構成された、一般社団法人全国土木施工管理技士会連合会が毎年、技術論文と技術報告を募集しています。技術報告は、建設現場における課題解決のために、創意工夫や技術的改善などを行い、ほかの施工管理技士の参考になるようにまとめた報告のことをいいます。荒木組では各現場が終わると「技術報告会」を開いていて、若手社員が報告の発表を担当します。その報告をもとにして、連合会に応募しています。
編:若手社員が担当されるのですね。
仲達:はい。お施主様へのプレゼン力向上や、近年、資格試験で記述問題が増えていることへの対策として、文章力を鍛えるという目的があります。まずは社内で発表して、外部に応募するという流れです。
編:今回、優秀賞を受賞されましたが、お気持ちを聞かせてください。
仲達:うれしかったですね。現場所長が着工当初から「賞を目指そう」と話していたので、達成できてよかったです。現場のメンバーみんなでお祝いしました(笑)。

現場は工業団地を建設するための造成工事でした
編:報告のテーマは「ICT技術」と伺いました。
仲達:はい。「地域の民間工事におけるICT技術の活用と普及」というテーマで応募しました。公共事業ではICTはすでに一般的になっていますが、民間工事では協力会社の導入例が少ないのが現状です。今回の現場は大規模造成工事だったので、荒木組から協力会社さんにICT導入を提案しました。
編:スムーズに受け入れられましたか。
仲達:最初は難しかったです。ベテランの作業員さんは「ICTがなくても工事はできる」と話されていましたし、費用面を心配する声もありました。そこで、まずは負担の少ない測量から試していただきました。費用は荒木組が負担する形でスタートしましたね。
編:実際に使用した反応はいかがでしたか。
仲達:大好評でした(笑)。ICTを使った測量が簡単にできることに皆さん驚かれて、測量機器の取り合いになりそうなくらいでした。実際に測量機器を購入された協力会社さんもあったほどです。荒木組で座標データを準備し、作業員さんに使い方を簡単に説明しただけで理解してくださったので、工事がスムーズに進みました。

編:ICT建機についても導入されたと聞きました。
仲達:はい。ICT建機については、バックホウとブルドーザーを利用しました。使用した現場は盛土工事がメインだったので、ICT建機との相性もよかったと思います。
編:それぞれ導入してみて、どのような変化や反応がありましたか。
仲達:ブルドーザーに乗っていた職人さんが、「めっちゃ便利!すごい!」と感動していました(笑)。 ICTブルドーザーは、設計データをもとに自動で土を設計通りの形状に敷きならしてくれ、走行するだけで地形の整形が可能となります。その結果、従来必要とされていた丁張りの設置や途中での高さ確認作業が不要になり、各段に効率が上がりました。高さ確認作業が不要となったことで、安全面でもメリットを感じることができました。
編:実際にどのくらい工期を短縮できたのですか。
仲達:盛土工事の施工日数で考えると、従来工法だと21日かかるところを7日で仕上げたので、14日間短縮することができました!
編:素晴らしい成果ですね!技術報告をまとめるのは大変ではなかったですか。
仲達:現場には深く関わっていましたし、上司のチェックもありましたから、問題ありませんでした。技術報告は「問題点・改善点・結果」を論理的にまとめ、分かりやすく伝えることがポイントです。今回は「民間工事におけるICT導入」という珍しいテーマ自体が評価につながったと思います。

ICTの導入により、安全で効率性の高い現場になりました
編:民間工事でのICT導入は、今後広がっていきそうですか。
仲達:はい。今回、ICT技術に触れた協力会社の皆さんは、その効率性や安全性を実感して前向きになっていました。普段は小規模な工事を請け負うことが多いため、これまでICTに触れる機会がなかったのだと思います。きっかけさえあれば、一気に広がる可能性は十分にあると感じました。
編:これからもICT技術の進化に期待したいですね。
仲達:そうですね!協力会社の効率性や負担軽減を考えることも、元請けである当社の大切な役割だと思っています。
編:それは、アラキ・アカデミーの理念にも通じていますね。本日はありがとうございました。そして改めて、優秀賞の受賞おめでとうございます!
仲達:ありがとうございました。