働き方
荒木組の新たな熱中症対策とは?
こんにちは、アラキズム編集部です。近年、猛暑の影響で熱中症による労働災害が全国的に増加しており、2025年6月からは国の制度として、一定の熱中症対策が義務化されます。まずは、その制度として義務化される内容をご覧ください。

こうした背景を受けて、当社でも熱中症対策をさらに進化させる、新たな取り組みがスタートしました。それは、いったいどのような内容なのでしょうか?今回は、荒木組の安全担当であるYさんにお話を伺いました。
編集部(以下、編): 本日は、熱中症対策についてお話を聞かせてください。よろしくお願いします。
Yさん(以下、Y): よろしくお願いします。
編: 年々暑さが厳しくなり、夏場の業務も大変だと思いますが、荒木組ではこれまでどのような熱中症対策をされてきたのですか?
Y: 本当に厳しくなっていますね。荒木組では「熱中症対策11箇条」があり、それに沿って対策をルール化しています。例えば、各現場に経口補水液やスポーツドリンク、塩タブレットなどを用意しています。最初は塩飴だったのですが、職人さんにあまり評判がよくなかったため、塩タブレットに変更しました。すると今度は「美味しすぎて食べ過ぎてしまう」という声も出たりして…(笑)。現場の声を聞きながら工夫してきました。
編: 以前、他の現場を取材した際にも、「午後になると飲料などがすぐ無くなるから、冷蔵庫の中を空にしないよう気をつけている」と聞きました。
Y: そうですね。社員にはペルチェベスト(体を冷やすプレート付きベスト)と空調服の両方を支給しています。

ペルチェベスト内装
編: 熱中症対策は、やはり現場の声を反映しながら進めてこられたのですね。
Y: はい。加えて、一定人数以上の社員がいる建設業では、毎月「安全衛生委員会」を開催することが法律で定められています。その場で、よりよい職場環境にするための議論をしています。その中で熱中症対策についての提案もあります。熱中症対策とは少し違いますが、今、現場で好評いただいている「日焼け止め」や「汗拭きシート」の会社支給は、この委員会で若手社員の声から生まれた取り組みなんです。
編: 今回の新しい取り組みとして、ウェアラブルデバイス「Smartfit」の導入が、先日テレビでも特集されていましたよね?

Smartfit装着

パソコンによる管理状況

Y: そうなんですよ。これも安全衛生委員会で社員から導入アイデアが出されて、実際に採用されました。「Smartfit」を装着すると、心拍数や温度などのバイタルデータを取得できるため、遠隔でもリアルタイムで体調の変化を確認できるようになります。
編: こうした「熱中症対策の見える化」は、新しい義務化のルールに含まれているのですか?
Y: いえいえ、そうではありません。今回の制度の目的は、「熱中症を早期発見して、迅速に対処することで重篤化の防止を目的」にしています。そのため、「Smartfit」のような機器の使用は義務ではないんです。でも、熱中症は個人差が大きくて、暑さに強い人もいれば弱い人もいる。体調によっても日ごとのリスクは変わってきます。
この「Smartfit」を使えば、自身の状態を「感覚」だけに頼るのではなく、状態を数値で見える化し、それをもとに個人に合わせた対策ができるんです。これは、荒木組が目指す「一歩先」の安全管理への挑戦でもあります。
編: この夏の「Smartfit」の効果に期待が高まりますね。
Y: そうですね。どうしても毎年2~3件は熱中症が発生してしまうのですが、これをゼロにできたらうれしいですね。今後も現場環境の改善に取り組み、社員の働きやすさにつなげていきたいと思います。