連載
土木施工現場の舞台裏に迫る ―「令和7年度笠岡バイパス新笠岡港西IC橋下部他工事」編 Vol.2―
前回、工事開始前の準備作業と、地盤改良に向けた事前調査の様子をご紹介した「令和7年度笠岡バイパス新笠岡港西IC橋下部他工事」(https://arakizm.com/kasaoka-bp1/)。その後、さまざまな仮設工事も無事に完了し、現場はいよいよ次の工程へ。今回は、大型重機(杭打ち機)が動き出すということで、現場へ取材に向かいました!

いよいよ始まる立ち上げ作業。その前に所長にお話を伺いました
編集部(以下、編):宮脇所長、よろしくお願いします! 今日からいよいよ大型重機を使った工事が始まるとお聞きして、駆けつけました。大きな重機が入ると、現場の雰囲気も一気に変わりますね。
宮脇所長(以下、所長):よろしくお願いします。そうなんですよ。今日はいよいよ本格的な作業が始まる、まさに待ちに待った日なんです。
編:今日はどんな作業を行うのですか?
所長:正式には「固結工のスラリー攪拌のための地盤改良機のリーダー起こし」といいます。長いですよね(笑)。簡単にいうと、杭打ち機の長い支柱部分にあたる「リーダー」をクレーンで吊り上げ、立ち上げる作業です。この数カ月、この巨大な重機を受け入れるために、「現場の出入り口づくり」や「重機が安全に作業できる地盤づくり」を地道に進めてきました。
編:本格的な工事に入る前の準備に、そこまで必要なんですね?
所長:はい。もともとの地盤が柔らかかったので、そのまま大型重機を入れると、重機の重みで地盤が崩れてしまう危険があるんです。特にクレーンが重いものを吊り上げるときは、足元にものすごい荷重がかかります。地盤が耐えきれず、重機が傾いてしまうのが一番怖い。ですから、セメントを混ぜて固めるなど、しっかり計算しながら地盤を強固に仕上げてきました。

青い大型重機のリーダーを、左側の赤いクレーンで吊り上げます
編:大きな重機を使う工事だからこそ、それを安全に動かすための計算と準備が必要なのですね。ところで、この杭打ち機のリーダーはどれくらいの重さがあるのですか?
所長:だいたい14tですね。しかも、その重さのリーダーをただ持ち上げるだけでなく、かなり離れた位置から吊り上げなければならないので、普通のクレーンでは歯が立たないんです。巨大なクレーンが必要になります。
編:14tを遠くから吊り上げる…! 想像以上の規模ですね。そもそも、巨大な杭打ち機は、どうやって街なかの道路を通って現場まで運ばれてくるのですか?
所長:実は、そのままでは大きすぎて道路を走れないので、重り(ウエイト)やキャタピラー部分までバラバラに解体して、トラックで現場へ運び込むんですよ。
編:えっ! あの巨大な杭打ち機が、分解されてパーツごとに運ばれてくるのですか!?
所長:そうなんです。現場に届いてから組み立てて、1週間ほどかけてようやく施工の準備が整います。ですから、搬入から組み立てまで、本当に一大プロジェクトなんです。
編:まさに「現場で一から組み上げる巨大メカ」ですね!いよいよ吊り上げ作業が始まるとなると、緊張感も相当なものではありませんか?
所長:正直、一番緊張する瞬間ですね。持ち上げる「最初の瞬間」が、機械にも地盤にもそれまでにない大きな力がかかります。だからこそ、前日に雨や台風のニュースを見ると、「現場の地盤は大丈夫か」とハラハラしますし、当日の朝はまず自分の足で現場を歩き、地盤の状態を入念に確認します。
編:天候を見極め、自分の足でも確かめる。徹底した事前確認があるからこそ、安全に作業できるのですね。

数日前の大雨を受け、当日の地盤の状態を確認しながら、敷鉄板の枚数を変更したそうです
所長:派手に見える吊り上げ作業ですが、その裏には地道な計画と検討の積み重ねがあります。職人さんや関係者みんなの思いと計算が詰まった「持ち上がる最初の瞬間」に、すべての準備が詰まっているんです。
\ここからは実際の作業の様子をリポート!/

作業開始前は作業員さんと最終確認

クレーンでリーダーをゆっくりと持ち上げていきます

徐々に立ち上がっていきます

立ち上げ作業を見守る現場社員の皆さん

立ち上がったリーダーの上で作業をする作業員さん

トラブルが起こらないよう、作業の状況を細かく確認していきます

無事に立ち上げ作業が完了!
作業数日前に降った大雨の影響が心配されましたが、大きなトラブルもなく、杭打ち機のリーダーの立ち上げ作業は無事に完了。作業を終えた瞬間、宮脇所長をはじめ現場社員の皆さんの緊張が解け、ほっと胸をなで下ろす姿が印象的でした。
目の前で立ち上がる巨大な杭打機のリーダー。その迫力ある光景の裏には、数カ月にわたる準備と、天候や地盤の状態を見極めながら重ねてきた、細かな確認と判断がありました。大きな工事を安全に進めるためには、その一瞬に至るまでの地道な積み重ねが欠かせない――。そんな土木施工現場の舞台裏を、改めて感じる取材となりました。