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土木施工現場の舞台裏に迫る ―「令和7年度笠岡バイパス新笠岡港西IC橋下部他工事」編 Vol.1―
こんにちは、アラキズム編集部です。「土木施工現場の舞台裏に迫る」シリーズ、今回からは「令和7年度笠岡バイパス新笠岡港西IC橋下部他工事」の舞台裏を追いかけます。第1回は、工事が始まる前の事前調査と準備作業に密着。普段はあまり目にすることのない工程ですが、「机上の図面」を「リアルな現場」へと落とし込むために、技術者たちが知恵と経験を注ぐ重要なプロセスです。現場を担当する宮脇所長と臼井さんにお話を伺いました。

宮脇所長(右)と臼井さん(左)
編集部(以下、編):宮脇所長、臼井さん、これからよろしくお願いします!今回の現場ではどのような工事を行うのでしょうか?
宮脇所長(以下、所長):新しい道路ですね。その第1段階として、橋台(橋の上部構造を支える土台の部分)を施工していきます。橋台を施工する前には地盤改良が必要になるため、今日は事前調査を行なっているんですよ。
編:それはどのような調査なのでしょうか?
所長:地盤改良で使用するセメントの最適な配合を決めるための調査です。地盤にどれくらいのセメントを混ぜれば必要な強度を確保できるのかを確認し、「配合計画」を立てていきます。


ボーリングマシンを使って地盤を調査
編:調査では、どれくらいの深さまで掘るのでしょうか?
臼井さん(以下、臼井):地盤改良を行う深さは約26mなので、調査では地下30mほどまで掘り進めて土を採取しています。今回の施工範囲は狭いので、この1カ所を詳しく調べることで、施工範囲全体の地質を把握できるんです。
編:ここに橋の土台ができ、その先に新しい道路がつながっていくのですね。
所長:そうです。工期は2026年度末までですので、2月末頃にはここに大きな橋台がズドンと立ち上がる予定です。限られた工期の中で工事を進めるため、工程の組み立てや日々の判断がとても重要になる現場です。
編:工事を進める上で、最初に立ちはだかる課題は何でしょうか?
所長:実は工事そのものよりも、「工事ができる環境を整えること」が一番の課題なんです。今回は超大型の重機を使用しますが、現状では、その重機が安全に通行できる搬入路がまだありません。まずは重機が安全に進入できる搬入路を整備する必要があります。さらに、重機の重量に耐えられるよう地盤を補強する必要があります。もし重機が転倒すれば、大きな事故につながるため、安全を最優先に準備を進めていきます。

この場所に、大型重機が通行するための搬入路を整備します
臼井:また、もうひとつの課題は、工事範囲のすぐ近くを水路が流れていることです。この水路は上流から続いているため、水を止めてしまうと上流側であふれ、地域の皆さんの生活にも影響が出てしまいます。そのため、工事期間中は水の流れを確保できるよう、仮設水路をどのように設置するか、どのように水を流すかといった計画も並行して進めています。
編:搬入路の整備や仮設水路については、現場で検討する部分が多いのでしょうか?

こちらの水路の切り替えを検討中
所長:はい。これらは設計図面に詳しく示されているわけではありません。ただ、これは設計を担当されたコンサルタント会社さんに問題があるということではありません。コンサルタントの皆さんは、地域全体のバイパス計画という大きな視点での設計を行なっています。一方で、私たち施工者は、実際の現場の状況を細かく確認しながら工事を進める立場です。
臼井:実際に現地に来てみると、「この高低差では重機が通れないな」とか、「ここに水路があるな」といったことが分かります。全体の設計図と現場の状況には、どうしても違いがあります。そのギャップを埋めながら、安全に工事を進められる方法を考え、形にしていくことが、私たち施工管理の仕事であり、プロとしての腕の見せ所だと思います。
編:現場で計画を見直すとなると、手続きも多くなりそうですね。
所長:そう、これがかなり大変でして…。役所へ何度も足を運び、現地で水量を測ったり、図面を修正したりと、準備だけで何日もかかることがあります。それでも、国の承認を待っている間に工期が延びるわけではありません。そのため、限られた期間の中で手続きを進めながら、工程全体を管理していく必要があります。
編:目に見えない準備や手続きが、工期にも大きく影響するのですね。
所長:その通りです。例えば、工事中に地中から廃棄物が見つかった場合、その処理には追加の予算や申請手続きが必要になります。ただ、申請に時間をかけることで現場の負担が大きくなるようであれば、自社負担で処理を進めることもあります。設計変更の承認を待つよりも、現場を円滑に動かした方が、社員の負担を軽減でき、結果として工期も守れるからです。そうした判断をすることも、所長の重要な役割ですね。
編:図面と現場の違いを見極めながら、一つひとつ最適な判断を積み重ねていく。その積み重ねが、安全で確実な工事につながっているのですね。本日はありがとうございました!