連載
広島・廿日市、新たな仲間とつくる木造建築。(後編) 入社3年目、図面と現場をつなぐ日々
前編では、広島県廿日市市で福祉施設の建設を進める鷹取所長に、現場づくりへの思いや、若手社員に伝えたいことをお聞きしました。
(前編はこちら→https://arakizm.com/hatsukaichi-1/)
後編に登場するのは、鷹取所長のもとで施工管理を担当する、入社3年目の志多木さんです。多くの職人さんが行き交い、着々と工事が進む現場。今回採用されている「テクノストラクチャー工法」による木造建築は、志多木さんにとって初めての経験です。経験のない工法にどう向き合い、施工管理の仕事を進めているのか。先輩たちから何を学び、自分の力にしようとしているのか。志多木さんに現場を案内してもらいながら、日々の仕事や学びについてお話を聞きました。

志多木さんの案内で、工事が進む現場へ!
編集部(以下、編):志多木さん、現場の案内ありがとうございます! あらためて現場を歩いてみると、木造でありながら、梁(はり)の部分には鉄が使われているのがよく分かりますね。
志多木さん(以下、志多木):はい! これが「テクノストラクチャー工法」の特徴です。木とH形鋼を組み合わせた梁を使うことで、木造の良さを生かしながら、鉄の強さを取り入れています。柱の少ない広い空間をつくれるので、今回のような福祉施設にも活用されているんですよ。また、今回の建物は「準耐火構造」で、柱や梁、壁などを所定の材料で覆うなどして、万が一の火災時に必要な性能を確保しています。

木と鉄を組み合わせた梁。今回採用している「テクノストラクチャー工法」の特徴のひとつです
編:前編では鷹取所長から、木造ならではの「納まり」にも技術が求められるというお話がありました。志多木さんは今回の工法に初めて取り組む中で、どんなところに難しさを感じていますか?
志多木:正直、最初は戸惑いもありました。これまで経験してきた鉄骨造や在来木造とは、組み上げる手順やスケジュール感が違うんです。1階を組んで床を伏せ、その上で2階を組んでいく。鷹取所長とも話しましたが、これまで経験のない進め方だったので、最初は少し違和感がありました。設備配管を通す位置なども、事前にしっかり確認しておく必要があります。後から簡単に変更できない部分もあるので、図面のチェックや材料の管理が大切になります。
編:初めて経験する工法に、木造ならではの難しさもあるのですね。分からないことがあったときは、どうしていますか?
志多木:まずは自分で図面を確認して、それでも分からないことは鷹取所長たちに聞くようにしています。実際の現場を見ながら教えてもらうと、「そういうことか」と理解できることも多いですね。
編:現場ではたくさんの職人さんが作業されていますね。
志多木:はい。多いときで40人前後になります。普段は戸建て住宅などを中心に手がけている大工さんたちにも、協力していただいています。こうした多くの方が働く現場で、僕たち施工管理が特に力を入れているのが「安全管理」です。
編:前編では鷹取所長も、広島で初めてご一緒する協力会社さんが多いと話していました。安全面ではどのようなことを意識していますか?
志多木:初めてご一緒する方も多いからこそ、「荒木組の安全ルール」をきちんと共有することを大切にしています。柱や梁を組み上げる「建て方」に入る前から協力会社さんと確認し、毎朝の朝礼でも「親綱の設置」や「フルハーネス型墜落制止用器具の着用」など、安全上の注意点を伝えています。朝礼で伝えるだけでなく、現場を巡回しながら、必要に応じて声をかけるようにしています。施工に関する技術や知識に加え、皆さんが安全に作業できる環境を整えることも、施工管理の大事な役割だと思っています。

現場を歩くと、ふわりと木の香りが
編:初めての工法に、広島での現場。慣れないこともある中で、志多木さんにとって支えになっているのは、どんなことですか?
志多木:やっぱり、一緒に現場を担当している鷹取所長や中山さんの存在ですね。分からないことがあればその場で質問できますし、細かくアドバイスをいただけます。図面だけでは分からなかったことも、現場で実物を見ながら教えてもらうと、「あ、図面のここはこういう意味だったのか」と、つながるんです。「木は生き物だから、季節や湿度によって伸び縮みする」といった話も、実際の施工と結び付けて聞けるので、すごく勉強になります。

鷹取所長と現場を確認。一つひとつ教わりながら、理解を深めていきます

先輩社員の中山さんも合流。分からないことをその場で相談できる心強さが、志多木さんの支えに
編:前編で鷹取所長は、「設計図から完成形を思い描く力を身に付けてほしい」と話していました。現場で教わったことを図面と照らし合わせる日々が、その力につながっていきそうですね。
志多木:そうですね。まだ分からないこともたくさんありますが、教えてもらったことを一つひとつ自分のものにしていきたいです。これから外構工事や隣の現場も本格化していくので、引き続き気を引き締めて取り組んでいきます。まずは、まかされた役割をしっかり果たして、最後まで事故なく工事を終えたいと思います!
編:完成を楽しみにしています。志多木さん、ありがとうございました!
分からないことは先輩に聞き、現場で実物を確かめ、図面と結び付けながら自分の力にしていく。志多木さんの姿からは、鷹取所長たちの教えを一つひとつ吸収しようとする姿勢が伝わってきました。経験を伝える先輩と、それを受け止める若手。前編・後編を通して、その両方の姿に触れた広島・廿日市の現場でした。ここでの経験を重ねながら、志多木さんがどんな技術者になっていくのか、これからが楽しみです。